2016年 09月 13日
他人は欠点ばかりを見ていません |
誠心大阪支社の安田です。
この間、ある講義でユニリーバの美容製品ブランド『ダブ』の販促活動の話を聴きました。
販促は、自社の製品を買ってほしいから行うものです。しかし、ダブの販促は「製品を買わせない」ものでした。
美容製品のCMには女性が登場し「製品を使えばこんなに美しく♪」というメッセージを伝えます。
しかしその女性はたいていモデル級の美人であり、視聴者の心内では「製品を使わなくても…」と感じるものです。
どうやらこの販促の傾向は米国でも同様であり、米国の女性の81%が、「自分がなれないほどの美女を販促モデルに使っている」と感じており、「自分を美しいと感じている女性」は、わずか4%であるそうです。(ユニリーバ調査より)
そこでユニリーバは、常識では考えらえなれない方法でダブの販促を行いました。
それは『女性の自己肯定』を支援する活動でした。
メディアで扱われる美顏の基準は画一的なものです。それにより多くの女性が容姿への自信を持てず、消極的になります。
しかし「ありのままの自分」を受け入れ自分の美しさに気づくことで、明るく前向きに生きる幸せをつかんでもらう。そういった活動でした。
私が聴いた講義の中で印象的だったプロジェクトを紹介します。
それはお互いに初見の女性たちを一か所に集めて行われた実験の映像でした。
[先に]画家が、ある女性に『自分の容姿』に対する印象を尋ねます。画家は、その女性との対面は一切なく、その印象だけで肖像を描きました。
[次に]画家は、他の女性に『先の女性』の容姿に対する印象を尋ねます。画家は、先と同様にその印象だけを頼りに肖像を描きました。
その2枚を見比べると、[次に]の肖像の方が幸せそうな顔立ちだったという結果でした。
この実験から私が感じたことは、「誰でも自分の欠点だけを気にして、自分の容姿を過剰に卑下している。しかし他人はその欠点に、自分が思うほど注意を払っていない」、ということです。
この自己肯定活動は米国でも議論となり、販促は大成功をおさめたとのことでした。
自製品を否定する販促をおこなうことは本当に勇気のいることだと思います。
容姿だけに限りません。誰でも自分自身の行動や考え方、経歴などに欠点を感じ、自信を失います。
しかし、他者はその点だけに注目しているわけではないようです。
私は「欠点の総合商社」と感じていますが、(苦笑)その点ばかりを見ずに、ゆるく考える姿勢を持とうと思います。
by seishinnet
| 2016-09-13 12:00
| 大阪支社